五つの小品〜木々、人、そして川

第54回九州ギター音楽コンクール 課題曲 作曲者紹介:ブラーボ氏はアルゼンチン国ロサリオ市出身、現在福岡県前原市在住。ギタリスト・作曲家として九州各地はもとより.Forest Hill editions 購入5つの小品「木々、人、そして川」【訳注:組曲タイトルの訳は「木々、人々、そして川」「木と人と川と」「木々と人々と川」...等々、いろいろ考えられます。原文は木・人が複数、川が単数です。「5つの小品」を主とするか、こちらを主にするかでも違ってくるでしょう】
ギターを教えるなかで、私は生徒のための小品をいくつか書こうと決めました。毎日の練習の味気なさを解消し、やる気を呼び起こすものを作りたかったのです。コンセプトは、簡単なテーマを素材に、楽器の音響物理特性を生かして、最小限の力と動きで楽想を形にすることでした。そうして生まれた数々の曲の中から、今回、この発想のもとに5曲を組曲としてまとめました。
曲自体は描写的なものではありません。タイトルは、作曲の動機となる思いや感覚として生まれたものと、また曲の完成後に付したものがあります。
「はじめに」
第1曲。このタイトルは、単に最初の曲であることを示すものです。カナダの作曲家ウィリアム・ボーヴェにこの曲を献呈しました。彼の作品が、先に述べた発想を私に与えてくれたのです。
「緑と黄色」
アルゼンチンの故郷の町にたくさん植えられているフレスノ(トネリコの一種)の木は、控えめで高貴な美しさを持っています。その深い色合いは秋を彩り、空を、そして心を染めてくれます。
「ズボニミールの舟」
私の町の公園で見つけた小さな舟。クロアチアからの移民を記念して、同国の過酷な歴史を物語るブラディミル・ナゾルの詩の題名を冠した舟です。その詩は、すべての民族の歴史を象徴的に表わしたものともいえるでしょう。「猛り狂う風が、波が、そして嵐が襲いかかり、舟は裂け、傷つき、砂の上に横たわる...しかし、今もまだ、ここにある」。
「木々のための小さなレクイエム」
現代の人々が、敬意と思慮を持って自然と共生できるように、自らもまた自然の大切な一部分であることを知ってほしいという切なる願いと祈りを込めた曲です。
「川」
パラナ川はアルゼンチン沿岸地帯の中心をなす川です。私はその岸辺で生まれ育ちました。その名を呼ぶことは、はるか彼方を、そして心のうちを見つめること。半ば眠り込んだ島々、漁師たち、水平線から昇る月、川の流れが運び去る悲しみ...。遠く離れた地で、私はパラナ川が語ってくれたことを思い出しています。
このささやかな作品にギターを通じて親しんで下さる方々にお礼を申し上げるとともに、この作品の中にあなた自身の声を見つけていただきたいと、ただ願うのみです。
レオナルド・ブラーボ2008年2月 福岡にて